11.箱根旧道〜箱根宿へ(街道地図) |
神奈川県足柄下郡箱根町→初花→割石坂→畑宿→甘酒茶屋→七曲がり→箱根(9km:4時間) |
■ 箱根の東坂を歩く ■(1999年8月5日)曇約1km 子供の夏休みを兼ねた一石二鳥の箱根越え作戦に今回は家の奥さんが参加した。 姫君!ご出発です。本人は大満足。しかし年食った姫は居ないので、ここでは 腰元としておく。さぁ喜多さん。行きますか〜! 9時30分頃三枚橋を行く。渡るとスグ山の中と想像していたが、歩道も無い交通量の激しい急な坂道だった。 この急坂で喜多さんはすでにグロッキー、「暑い」「ふぅ〜!」の連続。 これは序曲だった。 急坂を登り切ると県道沿い右に早雲寺 (小田原北条五代の菩提寺)そこからしばらく先に 曽我兄弟で有名な正眼寺 (鎌倉時代から地蔵の慈悲で無事に箱根越えをしたいという旅人の信仰を集めた寺 ) |
■ 一里塚・道祖神・石畳 ■約500m ゆるやかな登り坂が続き旧湯本茶屋村に入る。道のカーブ左手に男女双体道祖神(写真左)が仲良く旅人達を見守っていた。 その先右手に日本橋から22番目の湯本一里塚跡(写真中)が残され、 この辺りは江戸時代、湯本茶屋の中心でもあった。そう言えば、この坂道は温泉宿・ホテルの看板が やたら目立っている。そのまま進むと右手に県道から分かれて下る石畳への入口(写真右)がある。 箱根で初めて出会う石畳(猿沢石畳)だ。 |
■ 初花・女転し坂 ■約1〜2km 石畳を抜け県道を上ると有名な金ピカ寺(天聖院)に出会う。 車道のセンターラインも無くなり、 やがて旧道らしい雰囲気のする旧須雲川村に入る。ここが芝居 で有名な(躄の仇討)初花の滝の碑がある場所だ。 しかし初花の滝(写真左)は見えなかった。 しばらく先の鎖雲寺に、勝五郎と妻初花の墓がある。 箱根霊験、躄の仇討= (飯沼勝五郎は父の仇を討つべく妻初花と旅を続けたが、途中足を患って動けなくなってしまった。 初花は夫の看病をし、滝に打たれて祈願をしついに仇討ちを遂げたという) 県道を進むと左手に東海自然散歩道の案内板。その傍らに女転し坂の碑があった。 森林浴のできる道を歩いて行くと道は須雲川を板で渡るようになる。 ここで喜多さんと気持ち良く手と顔を洗った。腰元は恰好つけてハンカチだけ洗っていた。 |
■ 割石坂・大沢坂 ■約1〜2km この散歩道は東京電力畑宿発電所の所有だった。板の橋を越え県道に出るとすぐ目の前に、 江戸時代から残る石畳の割石坂(写真左)が待っていた 。この石は古くピカピカで滑りやすい 急坂を抜け再び県道に出る。歩きはじめてスグ左手に古い道があったので恐々入ってみた、何か行き止まりのような石塁に突き当たる。行けるのかなぁ〜。 そのまま進むと大きな石畳が出てきた。大沢坂(写真中)だ。 このキツイ石畳を登り切りやっと畑宿へ出る(写真右) 12時30分。雨が降ってきて、喜多さんと腰元はついにギブアップ? |
■ 畑宿から一人旅 ■約1〜2km 畑宿は小田原宿と箱根宿の間にある間宿である。正式な宿場では無いが畑宿本陣、 庭園の美しい茗荷屋跡もある。 そして寄せ木細工で有名だ。店に入った喜多さん達が中々出てこない。 寄せ木細工の実演を見て出てきた喜多さんの手には 14回秘密箱があった。 (二人はこれ以上バカな旅人に付き合うつもりは無く、畑宿からバスで行く事を相談していたのだ。) すでに、ここまで3時間を経過。このままでは今夜の宿、桃源台への船の最終時間に間に合わないと判断。 どのくらいのスピードで着けるのか解らないが、取りあえず喜多さん達と関所で15時の待ち合わせ。 腰元は自分の携帯番号が解らなぁ〜い!ので(お互いの幸せだぁ〜コンニャロー)最終的には宿で落ち合うことにした。 旅人は畑宿を後にして強気の一人旅。 江戸から23里目の一里塚で別れる。そんじゃ達者でな〜。 |
■ 天下の険・箱根七曲がり ■約1〜2km 傘を取り出し先を急ぐ。 しかし、ここからが階段地獄の始まりだった。 繰り返し登る階段と石畳に中々足が上がらない。休む回数も多くなり。 苦しみながらも見晴し茶屋や、甘酒橋を越えたのに、甘酒茶屋まで最後の 歩道橋の階段(写真右)を上がりきった後、下り道で足がツッテしまった。 こんなことは初めてだ。今まで東海道を歩いた自信が吹き飛んだ。 そのままの姿勢で動けなくなり、峠越えを断念しようと思い。 県道でタクシーを待った。しかしいくら待っても来なかった。 バス停まで歩く他はない。県道を10cmごとトボトボと登り始めた。 |
■ 甘酒茶屋から恐怖の石畳 ■約1〜2km なんとか甘酒茶屋に到着した。 ここで飲料水を補給、しばらく休んだら元気が出てきた。マラソン大会じゃないんだから、約束の時間に間に合わなくたって ゆっくり歩いて行けばいい。普段と違った筋肉を使っただけ。俺は日本橋からここまで歩いてきたんだ! 足は舗装路を登っていた。県道左手に元箱根まで40分の石畳の案内板。 誘われるように旅人は吸い込まれていった。白水坂の石畳(写真右)を雨の中一歩一歩進む。 そして、どこまでも続く石畳の途中で再び足が攣り身動きが取れなくなってしまった。 立ったままだ。足の位置を変えることすら出来ない。誰もいない妖怪大蛇のウロコのような場所で そのまま10分、筋肉の回復を待った。恐怖の時間だった。やがて雨水の流れる土の隙間を選び上に向かった。 |
■ 箱根馬子唄の碑・権現坂 ■約1〜2km 石畳が終わると平坦な道となり足取りは軽い。ビュンビュンと進む。箱根馬子唄の碑 (箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川) を通り越し、2〜3組みの観光客を追い抜く。無敵の足だ。俺ってスゴイ。 権現坂という石畳があったが下り道だ。調子に乗ってヒョイヒョイと進み滑ってしまった。 不覚!またもや足が攣り動けない、石畳のど真ん中で大の男が立ち往生。 さっきの観光客のオバサン3人組が上からやってきた。恥ずかしい!行く手をじゃまする旅人に睨みを利かせ 得意そうに降りていった。チクショー。リュックの中から「エアーサロンパス」を取り出し 立ったまま、足にスプレーしたら一気に回復。何で!?気がつかなかったんだろー!(足が攣った時に絶対お勧め) 下ってスグに目の前が急に明るくなった。今まで歩いた経験から何か大きな自然の変化があると思った。ついに芦ノ湖に出たのだ。 |
■ 賽の河原・関所 ■約1〜2km 車を避けながら歩道の無い杉並木を行くと赤い鳥居が見えてきた。 芦ノ湖畔の通りに出たのだ。目の前にある石仏・石塔が立ち並ぶ賽の河原(写真左)は、 観光客で賑わう通り道にミスマッチのような気がするが、石畳を歩いた旅人の目には観光客の方が異質な存在 として映った。 箱根宿に向かう途中に見事な杉並木がありスイスイ進む。そして箱根関所に到着!! 一時は挫けそうだったが普通のオジさんはやっと完歩した。 ・・・午後15時00分:約束通り、箱根関所の遊覧船乗り場で家族を待っている男がいた。 (全行程5時間00分・1999.8/5(木):万歩計=28866) |
10.小田原宿〜箱根旧道へ 12.箱根宿〜三島宿へ |